2025.08.13
楽器の演奏は、加齢による認知機能の低下を緩和する可能性があるそうです。カナダと中国の研究チームが、科学誌PLOS Biologyに論文を発表しました。
チームは、高齢の音楽家25人、高齢の非音楽家25人、若年の非音楽家24人を対象に、雑音の中で音節(言葉の発音における基本的な単位)を聞き分ける実験を行いました。この時、機能的磁気共鳴画像(fMRI)を用いて、参加者の脳活動を測定しました。
チームは、音を聞いてそれに反応するための脳のネットワークである「聴覚背側経路(auditory dorsal stream)」に注目しました。分析の結果、高齢の音楽家は高齢の非音楽家に比べて、雑音の中での言葉の聞き取り能力が低下していないことが示されました。
高齢音楽家の脳は、聴覚背側経路において若年の非音楽家と似た接続パターンを示していました。一方で、高齢の非音楽家は、脳の活動が過剰になっており、実験中は一貫して若者の脳の接続パターンから外れていました。
この結果は、楽器の演奏を続けていることが、脳が持つ予備の力である「認知予備力(cognitive reserve)」を高め、脳の働きが若々しく保たれることを示しています。チームは、「楽器の演奏は年齢に関係なく脳に良い影響を与える可能性があり、楽器を始めるのに遅すぎることはない」と強調しています。