2025.09.03
リハビリテーション科専攻医タツ(ハンドルネーム)と初期研修医シュン(同)の対談の最終回をお届けする。
小児科と迷った末にリハビリテーション科の道を選んだというタツ医師が、整形外科とリハビリテーション科で悩むシュン医師の相談に乗った。それから、コメディカルのスタッフとの連携が大切であることを、医師の役割を明確にして説明した。最後は、進路の岐路に立つ初期研修医へ、メッセージを送った。
対談後、シュン医師はリハビリテーション科への思いが強くなったという――。
初期研修医シュン
1年ちょっと働いてみて、リハビリ科は忙しいと感じますか?
専攻医タツ
他の科に進んだ同期に比べると忙しいという感じはないですね。もちろん、研修医ではないので専門性が求められ、いろいろ勉強しなくてはいけません。
初期研修医シュン
なるほど。そこまで忙しい感じはしない、と。
専攻医タツ
ただ、特に大学病院に関していうと、雑務が多めです。リハビリ科に限った話ではないかもしれませんが、診療の合間で専攻医が片づけなくてはいけないこと――書類仕事やカルテ上の処理、診療報酬算定の事務手続きなんかが、いろいろとあります。
初期研修医シュン
おお、大変そうですね。
専攻医タツ
研修医の時には気にする必要がありませんでしたが、会計上の事務的な手続きが多くて、それがはっきり言って面倒で、意外と時間を取られます。
初期研修医シュン
それは知りませんでした……!
初期研修医シュン
進む診療科を決める時は迷いましたか?
専攻医タツ
子どもの医療に興味があったので、最初は小児科と迷いましたね。でもやっぱり、小児の病気を診るより、小児のリハビリがやりたいと思ったんです。小児科で学んでからリハビリ科に転科するという方法を考えたこともあります。でも、リハビリ科の先生から、最終的にリハビリをやるなら最初から経験を積んだ方が、知識の厚みも増すと言われました。
初期研修医シュン
僕は整形外科とリハビリ科で迷っています。小児科もそうだと思うんですけど、共通点が多いと思っていて。最終的に何を決め手にしたらいいのか知りたいです。
専攻医タツ
整形外科が候補なのはどうしてですか。
初期研修医シュン
自分がスポーツをするので、運動器に興味があります。それで、まずは神経内科などに興味を持ち始めて、初期研修でリハビリ科を回った時に面白いと思いました。
専攻医タツ
勧誘をするわけではありませんが、それならリハビリ科がいいと思います。手術が楽しいとか、体育会系の派手な手術をバリバリやりたいとかなら、整形外科寄りです。でも、運動生理学などに興味があるなら、リハビリ科が向いていると思いますよ。
初期研修医シュン
そうなんですね!
専攻医タツ
リハビリ科は臨床研究の宝庫です。診療科としての歴史が浅いので、何をしたら正解かというガイドライン的なものが全くありません。運動生理学を研究している先生も多いですし、最新のロボットもどんどん開発されています。そういう面白味もかなりあると思います。
初期研修医シュン
新しいことを開拓していくイメージですか。逆に、ガイドラインがないと僕は不安に感じるのですが……。
専攻医タツ
分からないことがあれば上の先生に聞きまくっています。専攻医になってすぐは初期研修でやったことが無駄だったんじゃないかというくらい、リハビリのことは何も分かりませんでした。私の場合、初期研修先のローテにリハビリ科がなかったので、全く未知で、ゼロからのスタートでした。なので、上の先生に聞いたり、文献を調べたりしています。
初期研修医シュン
リハビリ科の医師はコメディカルとの関わりが多い印象があります。
専攻医タツ
その通りです。なので、コミュニケ―ションを大事にしています。患者一人一人に対して毎月カンファレンスを行いますが、内科のように大勢の医師が参加するのではなく、医師は主治医のみです。その他は理学療法士、作業療法士、病棟の看護師、栄養士、MSW(医療ソーシャルワーカー)が参加します。
初期研修医シュン
職種が違う6人が集まるんですね。連携が大事になってきそうです。
専攻医タツ
そうですね。なので、定期的にカンファレンスを行い、情報を共有します。家族に状況説明できるようにするのも目的の一つです。連携を取る機会が多く、リハビリ科医は全体のとりまとめ役をしなくはなりません。
初期研修医シュン
重要な役割ですね。
専攻医タツ
ベッドコントロール(病床の効率的な運営)を意識して転院先を考えつつ、家族の希望を聞いたり、リハビリの進捗度合いを見て薬の処方をしたり、各所にアドバイスをしたりするのが、僕らの仕事です。
初期研修医シュン
リハビリ科での今後の目標はありますか。
専攻医タツ
とりあえず今は専門医を取ることしか考えていません。ただ、研究しがいのある診療科だと思います。上級医の先生に指導してもらって英語の論文を書くこともあります。研究が得意なのかどうかまだ分かりませんし、今は苦手意識がありますが、慣れることを信じて頑張っていきたいと思っています。
初期研修医シュン
我慢の時ですね。
専攻医タツ
あとは、自分が小児の時に病気を患ったので、小児のリハビリにどっぷり浸かって、その道を極めたいと思っています。とりあえずしっかりと知識を付けて専門医を取ることを目標にしています。
初期研修医シュン
いろいろ聞かせてくださり、ありがとうございました。リハビリ科は想像以上に働き方がしっかりしていて、なおかつ学術的なこともできるというのが魅力的だと思い、志望度が強まりました。
専攻医タツ
医局によって環境が違うので、いろいろ見てもらったら良いと思います。リハビリ科の仕事の醍醐味(だいごみ)は、長期的に患者や家族の生活に寄り添い、コミュニケーションを繰り返して、自宅に帰してあげられることだと思います。そういうことが好きならぜひ、リハビリ科へ!
おわり
tica ishibashi
イラストレーター、ファッションクリエイター。
アパレル商社のデザイナー職を経てフリーランスに。見た瞬間に「ずきゅん」と一目ぼれするような胸に響くクリエーションをモットーに、ファッションに特化したクリエイティブワークを展開する。イラストレーション、ファッションデザイン、アートディレクションと幅広く活動。広告グラフィックやブランドイメージビジュアルなどのさまざまなファッションイラストの制作と、アパレル企画や衣装などのファッションデザインを手がけている。2023年度JIAイラストレーターオブザイヤー最優秀商品イラスト賞受賞。
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