2025.11.19
泌尿器科の対談最終回。ロボット手術の利点・懸念、開腹経験の重要性を語り、研修先は症例数とロボ導入が鍵。都市部は症例不足、地方は豊富。若手のラパロ偏重には開腹で補完を。緊急時対応力を養うべき。
泌尿器科の専攻医ガイ(ハンドルネーム)と初期研修医ズッキ(同)の対談の最終話をお届けする。
ロボットでの手術が積極的に取り入れられている泌尿器科。実際にロボットを使って手術しているガイ医師が、ロボット手術のメリットや懸念点、将来性について語った。また、初期研修医が知っておくべき専門研修病院の選び方をガイ医師が伝授。3回に渡り、泌尿器科の特色を伝えてきた連載の最終回! 果たして、対談を通してズッキ医師はどう感じたのか。
初期研修医ズッキ
ウロ(泌尿器科)は、ロボットでの手術がかなり積極的に取り入れられていると思います。僕はまだ手術自体の経験が少ないのですが、個人的な印象では開腹のオペの方が自分の目で見て触れる安心感があるように思うんです。若手のウロの先生からは、専攻医になったら最初からロボットでの手術を多くやるなんてことも聞きます。ロボット手術に対する不安があるのですが、それは経験を積んでいくうちに変わるものなのでしょうか。
専攻医ガイ
僕の勤めている病院はオペの症例数がすごく多くて、それをほとんどラパロ(腹腔鏡手術)でやってきました。開腹はあまりありません。僕は専攻医4年目で「ダヴィンチ」(内視鏡手術支援ロボット)の免許を取ったんですね。それで、最初にロボットで驚いたのが、本当に何も触っている感覚がないことだったんです。
初期研修医ズッキ
「これで大丈夫なのか?」って思いましたか?
専攻医ガイ
はい。今でも、まだ正直その感じはあるんですけどね。腹腔鏡なら手の感触が分かりますから。組織をつかんでいる感覚があるんで。
初期研修医ズッキ
ロボットの良さはどんなところにあるんですか?
専攻医ガイ
上の先生に聞くと、感触がないことを補うだけの「目の良さ」だそうです。3Dで見えることの利点です。
初期研修医ズッキ
今後、ロボット手術が主流になる時代が来るのでしょうか。
専攻医ガイ
腹腔鏡が出てきた時も、最初は抵抗感が大きかったそうなんですよ。「開腹の方が見えるから」みたいな人が多くて。でも、やっていくと明らかに腹腔鏡の方が開腹より良いよねということになって、それがメインになったと。ロボット手術はまだ日が浅い段階ですが、多くの若手の先生が取り組み始めて、エビデンスも蓄積されているので、状況は変わってくるでしょうね。僕もまだラパロの方が安心だというのもあるんですけど。
初期研修医ズッキ
上の先生の中に、若手医師がラパロとかロボットで育ってきていることに懸念を抱いている人がいるんです。緊急事態やトラブルがあって開腹せざるを得ないときに、うろたえてしまうのではないかと。
専攻医ガイ
はいはい。言いたいことは分かります。
初期研修医ズッキ
ガイ先生は、そのことについてどう考えていますか?
専攻医ガイ
僕は、緊急の時に「どうしよう」とならないように、開腹の手術に積極的に入るようにしています。予定が決まっている開腹の手術は、副腎のがんだとか、範囲の広い腎がんとかが多いんですね。腫瘍外科や肉腫をメインにやっている先生とかが開腹をけっこうやっていて、泌尿器科と合同で手術をすることがあるので、そういう時は積極的に入るようにしています。
初期研修医ズッキ
専門研修を受ける病院の選び方について聞きたいことがあります。
専攻医ガイ
大事なことですよね。
初期研修医ズッキ
泌尿器科は、外科系の中でも学会員数が伸びているということを聞きます。そうなってくると、医局員が多すぎて症例の奪い合いなんかになりませんか。
専攻医ガイ
大学病院から派遣で来ている同期が何人かいるんです。彼らに話を聞くと、医局の同期が数人のところもあれば、十人を超えるところまであります。病院によっては、ほとんど症例がなくて、半年単位でいろいろな病院を回って、その間は外来だけということがあるそうです。半年で腎摘(腎臓摘出)を1件やっただけというところが。
初期研修医ズッキ
やはり、そういうのがあるんですね。
専攻医ガイ
特に都市部の人数が多い大学病院では、あるみたいです。一方で、ある人は専攻医1年目の時にダヴィンチの免許を取って、僕の病院に派遣されてきた時には、もう十何例もロボット手術を経験していました。
初期研修医ズッキ
大学病院によっても違うし、都市部にはなかなか症例を経験できないところがあるんですね。
専攻医ガイ
地方の病院であれば、症例には困らないというのが実態だと思います。
専攻医ガイ
ズッキ先生は、初期研修も2年目だということで、もうだいたい専門研修先は決めていますよね。
初期研修医ズッキ
はい。今とは別の大学病院を考えていて、見学にも行っています。ガイ先生は、初期研修を受けた病院で専門研修も受けたわけですよね。決め手はなんだったんですか?
専攻医ガイ
部長が面白い方で、夢を見させてくれるというのがありました。それに、症例数もかなり多くて、腹腔鏡については専攻医1年目でかなり経験できることが分かっていました。大学病院は人数が多いと埋もれてしまうとか、症例が回ってこないとか、そういう話も聞いたので。それなら、オペが好きだし、今の病院で専門研修も受けようと。
初期研修医ズッキ
そうですか。ありがとうございます。まあ、僕もほぼ決めてはいるのですが、専門研修先選びのアドバイスを頂いてもいいですか。
専攻医ガイ
今後の情勢を考えると、ロボットがあるかどうかは一つポイントになるかもしれません。それに、ロボット手術はやればやるだけ絶対に上手になります。器用とか不器用とか関係ないのでね。後は、大学病院は専攻医をいろいろな連携病院に配置するという、地域病院の役目もありますよね。そうなってくると、自分がどういうポジションで動かされるのか。それは把握しておくべきだと思いますよ。
初期研修医ズッキ
いろいろと貴重なお話をありがとうございました。
専攻医ガイ
ウロはズッキ先生のようにオペが好きな人にはピッタリですよ。男性医師のイメージが強いかもしれませんが、女性でも働きやすい環境だと思いますので、周囲にウロを選択肢に入れている人がいたら、そういうことも伝えておいてください。高齢者が増えていく中で、我々が役に立つことはかなりあると思いますし。
初期研修医ズッキ
分かりました。僕は、自分のキャラクター的にもウロが合っている感じがしました。出身大学の病院で初期研修を受けているので、そこのことしか知りませんでしたが、市中病院のガイ先生からもウロの印象はだいたい一緒だと聞いて、すごくいいなと感じました。
専攻医ガイ
まあ、泌尿器科って名前はいまいちですけどね(笑)。
初期研修医ズッキ
はははは。名前は……ですね(笑)。
おわり
tica ishibashi
イラストレーター、ファッションクリエイター。
アパレル商社のデザイナー職を経てフリーランスに。見た瞬間に「ずきゅん」と一目ぼれするような胸に響くクリエーションをモットーに、ファッションに特化したクリエイティブワークを展開する。イラストレーション、ファッションデザイン、アートディレクションと幅広く活動。広告グラフィックやブランドイメージビジュアルなどのさまざまなファッションイラストの制作と、アパレル企画や衣装などのファッションデザインを手がけている。2023年度JIAイラストレーターオブザイヤー最優秀商品イラスト賞受賞。
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