国際的な交流が日常の町に生まれ育って
5人に1人が外国人――。私が生まれ育ち、今も暮らし、医師として仕事をしている群馬県大泉町は、そんな町です。
町全体が多文化共生の雰囲気を感じさせ、日常的に異なる文化や価値観に触れることができます。特に、ブラジルからの移住者が多いため、町のあちこちでポルトガル語が飛び交っています。そして、地域の行事やお祭りは多国籍な雰囲気で盛り上がります。
小学生の頃から、さまざまな国籍の同級生がいました。みんな日本語も全く問題なく話せて、とても仲良しで。小学6年生の時には、外国人の友達たちと一緒に、タレントの萩本欽一さんが司会を務める日本テレビ系のバラエティー番組『欽ちゃんの仮装大賞』に出演したこともあるんです。
幼少期から身近だった国際的な交流は、私の人生において非常に貴重なものであり、医療においてもさまざまな文化的背景を持つ患者さんとのコミュニケーションに役立っています。
「鶴の首」の町・大泉町の多国籍な素顔
大泉町のことを、もう少し詳しく説明します。
郷土かるた『上毛かるた』で、「鶴舞う形の群馬県」と詠まれているように、群馬県は羽を広げた鶴のようだといわれています。大泉町は県南部の東側、鶴の「首」の部分にあります。県内で最も面積が小さい町で 、2025年8月現在の人口は4万1513人です。
総務省などによると、大泉町の外国人比率は21.8%で、人口5万人以下の自治体の中では全国1位です。2位が沖縄県恩納村12.2%ですから、その比率の高さが分かります。町の国籍別外国人人口表によると、ブラジル人が最も多く53.2%、2位がペルーで11.8%、3位がネパールで6.6%、4位がインドネシアとベトナムでそれぞれ5.9%です。
55カ国の患者が訪れる、町で唯一の病院
そんな大泉町唯一の病院が私の働いている蜂谷病院です。祖父が1962年に開院し、今は父が院長を務めています。病床数は74床(一般26床、療養48床)で、診療科は内科、外科、肛門科、整形外科、内分泌代謝内科(糖尿、甲状腺)、ペイン外来があります。鼠径ヘルニア、下肢静脈瘤、肛門疾患など Common Disease(日本で有病率の高い一般的な病気)の手術も専門的に行っています。
特筆すべきは、外国の患者さんが非常に多いことです。これまでに受診してくれた患者さんは、なんと55カ国にも上ります!
患者さんが親子で来院し、子どもが流ちょうな日本語で、親の通訳をしていることもあります。また、病院には外国人のスタッフも在籍しており、多国人の患者さんとのコミュニケーションが円滑に進んでいます。
Uターン医師として、地元で医療に向き合う日々
さて、最後に自己紹介をさせてください。
大泉町の小中学校で過ごした後、岡山県倉敷市の川崎医科大学付属高等学校へ進学し、川崎医科大学を 2008 年に卒業しました。その後は、栃木県にある獨協医科大学病院で初期研修を行い、約 10 年間、肝胆膵(すい)外科を学びました。現在は下部消化管外科で大腸肛門病専門医として大腸がんのロボット手術、腹腔鏡手術を行いながら、蜂谷病院でも診療しています。
“こんなところで、こんな医療をしている医師”の話を届けます
この連載を通じて、多文化共生の町で地域医療を支えている蜂谷病院でのさまざまな出来事、日々の医療現場の様子をお伝えしていきます。そのほか、消化器外科医の道を目指す方の参考になるような内容、私の好きなものや好きなことのお話も書いていく予定です。
「こんなところで、こんな医療をしている医師がいるんだ!」と、新たな発見を提供できたらうれしいです。
それでは次回をお楽しみに! Tchau! (※)
※読み方は「チャオ!」。ポルトガル語で「またね!」の意味です