2025.10.16
剛体(ごうたい)! そう!
べき思考! なるほど!
そうですそうです。何回言ったかなこのセリフ.。
リ バ ラ ン ス ! 使いてぇー!!
一体何の話かというと、心療内科医の鈴木裕介先生と、このコラムの企画で対談したのだ。鈴木先生と話すといつもこうだ。私は何度ものけぞってしまった。動画を見てみるといい。台本のないトークで、これほど心を動かされるというのも、じつに稀有(けう)だ。とことん深入りした対談が、私の心をじっくり香ばしく深煎(い)りにしてくれた。
鈴木先生の口から、出てくる言葉がいい。
短いフレーズで勘所をガッと掴んでくる。それらは膨大な経験と対話によって導き出された、選択圧を通り抜けた末の鋭い刃であり、同時に、多くのクライアントのそばに居続けてきた「ぬくもりのひとかけら」でもあるのだから恐れ入る。
私は反省する。
先日、とある研究会で、御年80歳を超えているような超・ベテラン病理医に、ばっさりと評された。「君は形容詞が多すぎるんだよ」。ガーン! このガーンってのは基本的にはグランドピアノを眉間にシワを寄せながら両手でぶっ叩くイメージだと思う。しかし先日友人にこの話をしたら、「えっ? 銅鑼(どら)じゃねぇの?」と返されて目を白黒。銅鑼っつったらジャーンだろうが!
待て、何の話だ、本筋に戻ろう。
私は形容詞が多過ぎる。言葉数が多過ぎる。対談動画を見返せば明らかだ。よくまあこんだけしゃべったな。編集してくださった方、うまいな。鈴木先生はそこんとこ全然違う。人の心のコアに向かって丁寧にそっと柔らかな手を伸ばしてくる。すっごく面白かった。そして勉強になった。憧れる。
そんな鈴木先生と私、それぞれアプローチは違うのだけれど、最終的にはなんだか似たような場所にたどり着いているのも興味深い。初めにたくさんの問い。「研修医という立場を少しでもつらくないものにできるか」。「医師のトレーニングをなるべくラクにできないものか」。「トラウマをどう回避するか」。「自分なりに落ち着く方法とは何か」。これらの超絶ド真ん中命題に対し、私たちはそれぞれ異なる登山道から一気に山を駆け上り、同じ頂上にたどり着いた。
それは、そんじょそこらの「アドバイス系動画」が決して出さない結論。「できない。研修はつらい」。「むり。ラクにはならない」。「トラウマは回避しようと思ってできるものでもない」。「落ち着くのは難しい」。――絶望的だ。
しかし、その、絶望を越えた先にいる、中年男性二人が、なぜこうもゲラゲラと、スタジオの朗らかな笑い声とも相まって、楽しそうに対談なんぞできてしまうのか。その答えを直接二人が語ることはないが……いや、失礼、最後に私が猛烈な文字数で語っているのだが、まあ、よく分からなかったかもしれない。けれど、鈴木先生の発した言葉を拾っていくだけでも、一見の価値のある動画ではあると思う。ありがとうございました。
病理医ヤンデル:本名 市原 真(いちはら・しん)
1978年、札幌市生まれ。2003年、北海道大学医学部卒。医学博士、病理専門医。いつのまにか教育機関との縁が濃くなり、こういう動画出演の意味がだんだん複雑になってきている。最後のカメラ目線の時の顔の角度は林修先生のマネをしています。
月曜のマミンカ
神奈川県川崎市在住のイラストレーター、絵本作家、グラフィックデザイナー。 2022年、絵本「カモンダメダメモンスター」を出版後、こどもと楽しめるワークショップを不定期で開催。 4匹の保護猫とヒーロー好きな息子、自由奔放な娘の子育てに奮闘中。
HP: https://mondaymom.official.ec/
Instagram: https://www.instagram.com/mondaymaminka/