2026.05.12
前回は、“逃げ”のための医師転職エージェント活用についてお話ししました。今回は、“攻め”としての転職エージェント活用法について考えてみます。
今回も、フリーランス医師に詳しい おると先生と 医師転職エージェント 「マイナビDOCTOR」 の営業職の方に取材をしました。
そして、私自身の転職経験を基に、医師が転職エージェントを使うメリットをお伝えします。
一つ目のメリットは、転職エージェントを使うことで自分の市場価値を知ることができる点です。実は、医師の転職において、医師免許と医師臨床研修修了登録証があれば応募できる求人は、かなり存在します(逆に言えば、初期研修未修了だと求人の選択肢は激減します)。
専攻医1~2年目の医師が「できて当然」と思っているスキルでも、それを習得しているか否かで応募できる求人の幅は大きく変わります。例えば麻酔科なら、「気管挿管ができる」だけで応募可能な当直バイトが多くあります。その他の科でも、外来非常勤であれば専攻医で対応可能なケースが少なくありません。一方、専門医資格が求められる求人もあり、その場合は給与が高くなる傾向があります。
このように、転職エージェントを使うことで今の自分が、どのスキル・資格で、どの程度の仕事と報酬が得られるのかを客観的に把握できます。実際に転職する場合はその参考材料にしてもよし、転職しない場合は「いつでも辞められる」という心のお守りにしてもよし、です。
二つ目のメリットは、医局とは異なる世界と接点を持てることです。
例えば、医局が紹介する大規模病院では、専門医資格や高度な専門性が重視されがちです。一方、転職エージェントが扱う中小病院やクリニックでは、資格や専門性よりも人柄や協調性が重視されます。そこでは、患者やスタッフと円滑に関係を築き、長く一緒に働いていくことが期待されるためです。
また、私立病院やクリニックでは「施設の収益を上げる」「施設の方針に従って働く」といった視点を持つことも重要になります。「どう働けば施設の利益になるのか」については、医局ではなかなか考えることはありません。そういった医療機関で働き、異なる価値観に触れる機会を持つことは、自分の働き方を見つめ直すきっかけにもなるでしょう。
自分の市場価値を知り、医局以外の価値観や収益感覚を理解できるようになることは、将来的に開業やフリーランスを目指す際にも役立ちます。
ちなみに、おると先生は将来の開業を見据え、専攻医時代からいわゆる“ウハクリ(繁盛しているクリニック)”でバイトをして、経営感覚を磨いていたそうです。活用次第で、医局では経験できない経験を積むことができるのですね。
では、「それだけメリットがあるのに、川久保はなぜ転職エージェント経由で転職しなかったのか」という話になりますよね。私は“逃げ”のために転職エージェントで相談しました。しかし、結局、私は麻酔が好きなので、幅広い症例を経験できる今の職場を上司の紹介で選んだのです。
結局、“攻め”で転職エージェント経由で転職するかどうかは、その先にやりたいことがあるかどうかです。ただし、自分の市場価値を知るために転職エージェントに登録・相談だけでもしておくのは、今後の進路を考える上で十分に意味があるということは、改めて強調しておきます。
川久保弥知(かわくぼ・みとも)
1987年、高知県生まれ。初期研修までは高知で「育つ」も、麻酔と集中治療の両方を学びたいと思い立ち、後期研修(専門研修)から広島市民病院で研さんを積む。現在は呉共済病院に勤務。Twitter(現X)で麻酔科についていろいろな投稿をしていたところ、日本麻酔科学会の偉い人に拾われ、学会公式アカウント開設に携わる。
最近の趣味は、子どもと一緒に始めた「ポケモンカードゲーム」。どうせやるなら本気で、と親子で大会にも参加している。
X:@MitomoKawa
月曜のマミンカ
神奈川県川崎市在住のイラストレーター、絵本作家、グラフィックデザイナー。 2022年、絵本「カモンダメダメモンスター」を出版後、こどもと楽しめるワークショップを不定期で開催。 4匹の保護猫とヒーロー好きな息子、自由奔放な娘の子育てに奮闘中。
HP: https://mondaymom.official.ec/
Instagram: https://www.instagram.com/mondaymaminka/