2026.05.29
米カリフォルニア州ロサンゼルス(LA)に移り住んでちょうど2年になります。最近、LAを旅行で訪れる日本人から「LA観光は何がお勧め?」と聞かれることが増えました。レストランは食べ物の好みの問題もありますし、スポーツ観戦もどこまで興味があるか分からないので、映画の街として有名な「ハリウッド」や美しいビーチが魅力の「サンタモニカ」と当たり障りのない返事をしておくのが無難だと感じ始めています。
しかし、個人的にLAはスポーツ観戦が一番の醍醐味(だいごみ)だと感じています。というのも、日本人が米国でどれだけ活躍していて、どれだけ称賛を受けているかを現地で肌で感じ、驚いたからです。
私はMLB(米大リーグ)の大谷翔平選手や山本由伸選手が所属するロサンゼルス・ドジャースの試合を何度も見に行っています(日本ではプロ野球の観戦は1、2回しか行ったことがない)。ドジャースの試合は試合展開が面白いことが多く、特に初観戦の時に大谷選手がホームランを打った光景は忘れられません。現地の人たちが大谷選手に声援を送る熱量には感動を覚えました。
街を歩けば「OHTANI」と書かれたTシャツを着ている子どもたちがいたり、大型量販店「コストコ」では大谷選手がアンバサダーを務める「お〜いお茶(伊藤園)」の試飲コーナーで南米系のおばあちゃんが彼のポスターを指さし「Everyone likes him」と笑顔で言ってきたり――。大谷選手は人柄を含め本当に愛されていると感じています。LAの中学校(Middle school)に通う長女や次女は日本人だと伝えるだけで、自然と大谷選手の話になり会話が生まれるそうで、彼女たちいわく「得をしている」とのことです。
大谷選手の人気ぶりに関して、印象に残っているエピソードがあります。ドジャースの試合の入場特典として観客に、大谷選手が愛犬・デコピンを抱えた姿をデザインしたボブルヘッド(首振り人形)が配られたことがありました。その日は私もスタジアムに足を運んでいました。
会場内で私の後ろの席に座っていた白人夫婦が買い物か何かで途中退席した際に、座席にボブルヘッドを置いていきました。すると近くにいた他の観客がそれに手を伸ばし、あろうことか盗んだのです。帰ってきた夫婦はボブルヘッドがないことに仰天。近くの別の女性が「あいつが取ったわよ」と夫婦に告げると、それを聞いた夫婦の夫と盗んだ観客でつかみ合いの乱闘に……。巻き込まれたくないので席を立ち離れて見ていると、すぐにゴツい警備員が10人ほど集まってきて騒動を収めました。
「いやいや、たかがフィギュア一つで大の大人がけんかしますかね」と思っていたら、どうも争いの元となったのはプレミア付きのゴールドフィギュアだったようです。それなら自分も争いに加わればよかったと思った、というのは冗談で、いくらプレミア付きといっても、あまりの事態に大谷選手の人気ぶりを垣間見ました。
さて、もう一人忘れてはならない日本人選手がいます。それは自分と同じ北陸出身のバスケットボール選手で、NBA(米プロバスケットボール協会)の名門ロサンゼルス・レイカーズで活躍する八村塁選手です。30年間NBAを見続けてきた自分としては、まずレイカーズのスタメンに日本人がいること自体、信じられないことです。
レイカーズの試合は何度か観戦に行っています。八村選手は日本の高校総体でプレーする姿を何度か見ており、その時から比べて明らかに数段うまくなっているのが分かりました。彼は高校時代にはその身長からセンター(漫画『スラムダンク』でいうと湘北高校の主将・赤木剛憲のポジション)を務めていました。
しかし、レイカーズにはルカ・ドンチッチ、レブロン・ジェームズなど名だたる選手が所属しており、チーム事情で与えられた役割は3ポイントシュートを打つ「シューター」です。普段のインタビューで「3ポイントシュートは好きではない」と語る彼ですが、今シーズンの全米王者を決めるプレーオフの準決勝で、王者オクラホマシティ・サンダー相手に3ポイントシュートの成功率が驚異の56.9%を記録するほどの大活躍。3ポイントシュートは3割入ればいい方といわれていますし、さらにこの数字はプレーオフに出場中の全NBA選手の中で最高です。
特にサンダーとの第4戦の残り40秒、相手からファウルをもらいながら決めた3ポイントシュート(これを「4点プレー」といい、4点を獲得できます)にはLA全体がしびれたことでしょう。今年が3年契約の最終年ですから、来季の年俸が急騰することは必至。LA市民からは「いくら払っても八村は残すべき」という声が上がっています。でも、他チームとの激しい争奪戦は必至で、もしかするとLAで八村を見られるのは、今年が最後かもしれません。
それにしても、きっと八村選手は日本にいた時とは異なる役割を果たすため、相当な努力をしたのでしょう。私も大学までバスケをしてきたので、並大抵でないことが分かります。
LAで生活していると、大谷選手や八村選手をはじめとする日本人選手の活躍を近くで感じられ、身が引き締まる思いです。彼らの活躍を励みに、私も自分にできる最大限の努力をしていこうと思います。
今西洋介(いまにし・ようすけ)
小児科医、新生児科医。日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医、医学博士(公衆衛生学)、小児医療ジャーナリスト。Xアカウントで公衆衛生学の視点から周産期医療や小児医療に関する社会問題について発信中。漫画『コウノドリ(講談社)』、同名ドラマ(TBS)に登場する「今橋先生」のモデルとして取材協力を務める。「ふらいと先生のニュースレター」でエビデンスに基づく育児情報を配信している。
月曜のマミンカ
神奈川県川崎市在住のイラストレーター、絵本作家、グラフィックデザイナー。 2022年、絵本「カモンダメダメモンスター」を出版後、こどもと楽しめるワークショップを不定期で開催。 4匹の保護猫とヒーロー好きな息子、自由奔放な娘の子育てに奮闘中。
HP: https://mondaymom.official.ec/
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