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2026.08.31

数々の宴席を乗り越えてきた女性医師が教える、年上との飲み会・カラオケの処世術【Case5】

「飲み会やカラオケが苦手だけど付き合いで行かなくてはいけない」「年上の上司との食事でどう接していいか分からない」。そんな悩みを抱えている人はいませんか。平成、令和と数々の飲み会やカラオケを経験してきた湊しおり医師が、年上との飲み会・カラオケの処世術を伝授します!

過去の連載でも触れたように、私は勤務医として長年働いてきましたが、昨年からは一般企業に会社員として勤めています。同世代の同僚と昔話をしていると、病院と企業で環境は違えど、20代~30代の時に皆同じような経験をしてきているのだなと思うことがよくあります。

分かりやすいところだと、飲み会での立ち居振る舞いであったり、今でいうところの「ハラスメント」体験であったりです。今の若者は、40代以上の先輩・上司とアフターファイブ(一般的に勤務が終わる午後5時になぞらえて「退勤後」を指す言葉ですが、死語ですか?)を共にする機会自体が減っているかもしれません。ただ一方で、縦のつながりが強い医師の世界では依然として、職場の飲み会が定期的にあったり、お気に入り?の後輩を誘って個人的に飲みに行ったりという文化が根強いように思います。

興味のない方には非常にどうでもよいテーマであるとは思いつつも、プライベートでも仲良くしたい先輩・上司がいるけどうまく振る舞えるか心配……とか、目上の人に飲み会やご飯に誘われた場合にどうすればいいか分からないという人に向けて、今回は(あえてこう呼びますが)「おじさん・おばさんの飲み会での攻略法」をご紹介しようと思います。



                         文:湊しおり<整形外科専門医、総合診療専門医>

まずは、「素直」が一番

先にお断りしておくと、我こそは「コミュ強(コミュニケーション強者)」と思う方には全く参考にならないと思います。というのも、私自身はあまりコミュニケーションに自信がある方ではありません。頭で考えて一生懸命処世してきたから周囲とはそれなりに良好な関係を築けているというだけで、天性の「人に好かれるタイプ」ではないのです。やらかして、穴があったら入りたいと思う日もあれば、コミュニケーションのうまい同僚を見て嫉妬に狂いそうな夜もありました。
そんな私が苦悩、葛藤の中で見つけた、なんとなく無難かつ穴を掘らなくてもよくなる程度の落としどころだと思って読んでください。

大前提として、「素直」が一番です。楽しければ、楽しい気持ちを表に出すことがとても大切です。なんでもハラスメントになるこのご時世に、先輩・上司側も実は後輩・部下を誘うことのハードルはとても高いのです。
そんな中で、あなたを誘っているということは、誘う側も憎からず思っているし、変な意味でなく、親睦を深めたいと思っているわけなので、楽しんでくれていると分かればとてもうれしいし、安心できます。

楽しいふりをする必要はありません。ただ、楽しくないときに、「それなり楽しそうに見えるようにする」ということまで気遣えるとよいですね。ちなみに20代の私は楽しくないときの振る舞いがひどすぎて、二度と誘われなくなった会がいくつもあります(笑)。

適切な振る舞いができると、その会が外れだったとしても、他の楽しい会に誘われる可能性がぐっと上がります。

さて、ここからは飲み会にまつわる若手医師の悩みごとに、私なりに回答してみようと思います。

①飲み会に行きたいのに誘われない

<誰でもいいから先輩・上司と飲みたい場合>
だいたいどこの診療科にも、一人は若手と飲むのが好きな人がいるものです。そういう人をリサーチして(看護師さんが詳しい可能性が高い)、顔を見るたびに「誘ってください」と言いましょう。言うだけならタダだし、失うものはありません。「嫌です」と言われることもないと思います。
<特定の先輩・上司と飲みたい場合>
まずは日々のコミュニケーションからです。先輩・上司側からすると、後輩・部下と飲みに行くことは、「ハラスメントに注意しなくてはいけない」「相手の分まで支払う可能性が高い」という二つのハードルを伴っています。なんでもハラスメントとこじつけられることがなく、会話が盛り上がり手持ち無沙汰になることがない(おごってもいいと思える)相手であると安心させてあげることが大切です。

➁飲み会に誘われたけど今回は気乗りしない

断ってOKです。また次回も誘われたいという気持ちがあれば、うそだとしても、どうしても外せない用事があることを、ある程度具体的に伝えましょう。本当に次回は行きたいようであれば、次があったらぜひ行きたいことを過剰なくらいに表すと効果的です。

➂飲み会で何を飲んだらいいのか分からない

なんでもいいのです。もちろんノンアルコールでも構いません。ただ、全員の1杯目がそろうまでスタートしない会の場合は、ひとまず多くの人が頼むであろうビールもしくはウーロン茶を頼んでおき、乾杯後にすかさず本当に飲みたいものを頼む方がスムーズではあります。1杯目のビールやウーロン茶は口をつけるふりでもよいと思います。

➃先輩・上司がずっとしゃべっていて食べられない

食べましょう。食べながらでも相づちを打てば問題ありません。自分がおばさんになってきて思いますが、こちらがしゃべるたびに箸を置かれる方が気詰まりです。
後輩と先輩どちらの立場も経験した上で分かりましたが、後輩はもりもり食べて、がんがん飲みながら、相づちの「さしすせそ」――さすがです!▽知らなかったです!▽すごいです!▽センスがいいですね!▽そうなんですね!を繰り出せば、だいたい双方気分良くいられます。もちろん、食べることも飲むことも相づちも、無理のない範囲で。

➄お会計はどうしたらよいですか

初めての人(たち)と行く会の場合は基本、先輩に任せましょう。ただ、年次が若いうちは払ってもらえることが多いと思いますが、お小遣い制の先輩・上司もいることは知っておいてください。

傾斜のついた割り勘になる機会も割とあると思います。その金額を払ってもよいと思える場合以外は、次回の参加はやめてOKです。ちなみに、私は以前はとんでもない数の飲み会をこなしていましたが、コロナ下で、そのほとんどが不要であったことに気づけました。

そして今は、プライベートな会であれば全額自分がおごってもよいメンバーでしか飲まないと決めています。なので飲み会に誘われた場合は、参加するメンバーを根掘り葉掘り全員聞き出して、一人でも一緒に飲みたくない人がいたら断るようにしています。

⑥2次会に誘われました。帰りたいです…

行きたくなければ速やかに帰りましょう。「ノリ悪いな、行こうよ」と言ってくる人もいるかもしれませんが、しょせん酔っ払いです。目の前からいなくなれば忘れます。翌日はもっと忘れています。

⑦2次会がカラオケ…立ち居振る舞いに困ります

歌いたければ好きに歌ってください。カラオケは無礼講。マイクは持った者勝ちです。

歌いたくないのに、歌え歌えと言われて困るという場合は「一緒に歌います」と宣言して、マイクを持った上で、他の人の歌を楽しそうに口パクすればよいのです。マイクを持っていないときも、タンバリンを持ってさえいれば、やる気があるように見えます。正直、酔っ払いはタンバリンの音がしていたかどうかは、翌日覚えていません。

不安だから何か持ち歌がほしいということであれば、上司や先輩の年代にもよりますが、40代以上の上司を想定するなら、女性はアニメ『タッチ』の主題歌でおなじみ岩崎良美さんの「タッチ」、男性はアニメ『ドラゴンボールZ』の主題歌でおなじみ影山ヒロノブさんの「CHA-LA HEAD-CHALA」などを練習しておくといいと思います。ある程度アップテンポで、みんなが知っているものを選ぶとシ~ンとなりにくく、自分の心を守れます。

カラオケはうまい必要は全くないと思いますが、もごもご恥ずかしそうにするより、口を大きく開けてしっかり発音しておくと不思議とうまく聞こえます。ちなみに私は、若い頃は選曲をやたらと意識していましたが、おばさんになってからは誰にも遠慮しなくてよくなったので椎名林檎を熱唱しています。

カラオケでよく見かけた残念な上司・先輩のパターンとして、無謀にもなぜか若者の歌(しかも難易度のとても高いもの)にチャレンジをする人や、反応に困る歌詞の曲をチョイスする人、面白くないネタをぶち込んで来る人などがかつては散見されました。令和の世の中で絶滅したといううわさを聞いてはいますが、もし遭遇してしまった場合は、タンバリンか自分の手拍子で歌声を打ち消しておきましょう。
鼓膜と網膜が汚れる前に、電話がかかってきたふり、お手洗いに行くふりで席を外すのも有効です。それから、カラオケボックスは、歌唱力ではなく演技力が試される空間です。演技をするのがしんどい場合は、そもそもの参加を回避するために、カラオケに行きたがるメンバーがいるかどうかの情報収集を怠ってはいけません。

おおむね、THE BLUE HEARTS(ザ・ブルーハーツ)の曲が入ったら終盤です。「TRAIN-TRAIN」がモニター上に目視できたら、お会計の準備をしておくとスムーズに解散できます。

⑧解散後が不安です

解散後は、ご自身の意識が保たれており、正常に歩けるようでしたら、1人もしくは3人以上での帰宅が望ましいと思います。ちょっとタクシー代がもったいないと思ってしまったが故に、面倒くさいことに巻き込まれることもあります。

アルコールが入った上にタクシーで2人というシチュエーションの相乗効果で、普段とは違ったキャラになってしまう昭和か平成の置き土産みたいな人は令和にもそこそこいると思います。構ってもいいことはありません。毅然とした態度を取ることはもちろんですが、なによりそういう場面に出くわさないように、誰とどうやって帰るのかは男女問わず、考えておきましょう。

お酒を飲むと正常な判断ができなくなるという自覚のある人の場合は、そもそも飲まないようにするのも手ですし、お酒に強いもしくは自制心が強く、確実に自分を自宅に連れて帰ってくれる人を飲み会に連れていくようにしましょう。

以上が平成、令和と時代をまたぎ数多の飲み会&カラオケを経験してきた私からのアドバイスです。とにかく、皆さんがアフターファイブも仲良くしたいと思える人が職場にいて、臆せずその人たちと飲みに行けて、そして飲み会がただの楽しい飲み会で終われるようにと願うばかりです。

ではでは、明日からの毎日がちょっとでもハッピーなものになりますように。


PROFILE

湊しおりプロフィール画像

湊しおり

1984年生まれ。広島大学出身。整形外科専門医、総合診療専門医、抗加齢医学会専門医。 気が多く、衝動性が強いため、壁にぶつかることも多々。いつも思いのままに、勢いで何とかしている。素敵な人と出会う運だけは日本一良いとの自負がある。自分を持て余しつつ、専業主夫の夫とペット(犬5匹、猫2匹)に支えられながら、「何とか生きています」。

栗生ゑゐこプロフィール画像
イラスト

栗生ゑゐこ

イラストレーター。 茨城県つくば市出身。筑波大学比較文化学類・桑沢デザイン研究所デザイン専攻科(プロダクトデザイン科)卒業。 2009年よりフリーランスのイラストレーターとして活動し、書籍・WEB・広告などを中心にイラストを提供している。著書に『赤子しぐさ』『きみはいつも想定外-おさなご日記-』など。

HP:https://kuriueiko.com/

X:https://x.com/quriwoo