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2023.05.23

モテるためにはどうしたらいい? 「モテ」の研究に心血を注いできた女医がお答えします【Case5】

「モテる」とは何か。モテるにはどうしたらいいのか。異性にちやほやされるために大学で部活のマネージャーを始めたり、話術と立ち居振る舞いを身に付けるべくキャバクラやスナックでバイトしてみたり——。モテの研究に心血を注いできた女性医師が語ります。

ある日、職場の後輩(女性)が「モテモテになるためにはどうしたらいいですか?」と質問してきました。

私はこれまでに、恋愛や結婚に悩む女性医師の姿をたくさん見てきました。過去に女性医師100人以上を対象に行ったアンケートでは、ストレートに「結婚したい」という意見を寄せてくれた人がいましたし、「出会いがない」と嘆いている人もこれまで何人も見てきました。というか、「モテるためにどうしたらいいか?」は、他でもない私自身が長らく向き合ってきた問いであり、そのために随分いろいろと試行錯誤してきたのです。

今回は、愛すべき後輩の質問に答えるべく、私のこれまでの奮闘と、現時点での結論を皆さんにシェアしてみようと思います。後輩を含め、一人でも多くの「同志」の役に立つことを願います。

文:湊しおり<藤田医科大学 総合診療プログラム(藤田総診)>

入学した女子校がまさかの共学化 悲しき青春モンスターの誕生

何が何でもモテモテの青春を謳歌(おうか)してやる――。それが、大学に入学した時に抱いていた野望です。

私がこの決意を固めた原因は、高校時代にあります。公立の女子校に入ったので、いわゆる男女の色恋における「青春」が身近にはない3年間を送る予定でした。少し残念だった一方で、初めからその覚悟はできていたので、ある意味、精神的には健全な状態だったといえます。

しかし、現実は残酷なものです。時代の流れを受けてか、入学の1年後には共学になりました。1階の中庭に出ていちゃいちゃと「青春」している1、2学年下のカップルたちを、うらやみにうらやむ日々が始まったのです。

その後3年間の浪人生活でも、予備校内に続々と誕生するカップルを尻目に黙々と受験に挑んだ結果(皮肉にも彼らは私より先に入学していきました)、こじれた私の「青春したい願望」は、さらに半回転ほどひねりを加えて、「青春=モテモテ」という思想をもたらしました。

モテを求めて運動部のマネージャーに 卒業式の胴上げで待っていた涙

まず、最初に定義の話をしましょう。大学入学時の私が意図していた「モテ」というのは、異性にチヤホヤされるというそのまんまの意味です。多くの異性が私と交際したいとか、「そういう」関係になりたいと思ってくれることをモテだと思っていました。

※私の恋愛対象が男性なので、「女性が恋愛対象の男性」に好かれるということを前提に書いていきます

さて、ある意味真っすぐなモテ願望を引っ提げて入学した直後、「モテるといえば運動部のマネージャー!」という安易な理由から、某部活のマネージャーになりました。なけなしの奉仕の精神と協調性をフルに駆使し、5月の西医体(西日本医科学生総合体育大会)くらいまでは気合いで業務をこなしましたが、夏過ぎにはもう疲れ果てていました。

そもそもサポート業務に向いていない上に、自分が成長できていないという謎の焦燥感もあり(別に成長を求めていたわけではないのですが、よくそのように表現していました)、なおかつ、私はちっともモテませんでした。当たり前の話なのですが、そもそも自分のためにマネージャーになった私と、本当にサポート業務を楽しんでいる他のマネージャーを比べたら、人としても恋愛対象としても、どちらが魅力的かなんて火を見るより明らかなわけです。同期のマネージャーが数少ない友人の一人になってくれたということを除いては得るものもなく、「うす~く、あさ~い」人間関係を築いただけで私のマネージャーライフは事実上の終了を迎えました。

念のために言っておくと、きちんとマネージャーをしていた同級生や後輩は人としてめちゃくちゃ成長していたし、モテまくっていたので「運動部のマネージャー=モテる」という図式はあながち間違っていないと思いますが、「一部例外」はありということですね。

「辞める辞める詐欺」を繰り返しながら、形式上は6年間マネージャーを続けましたが、卒業式で胴上げされた時は、虚無の涙が流れました。

キャバクラでのモテ修行が教えてくれたこと

1年生の夏、マネージャーをしているだけではどうやらモテないようだと悟った私は、次の手を考え始めます。入学から半年が経ち、メイクも多少はうまくなり、見た目もちょっとはマシになったと思っていました。しかし、優しくもなく、献身的でもないという本性がバレている部内や同級生グループ内はもとより、コンパなど本性を知らない人たちの集まりでも、やはり私はモテませんでした。

そこで私が思い付いたのが、「モテ=話術と立ち居振る舞い」という仮説でした。モテる話術と立ち居振る舞いを身に付けるべく、挑んだのがキャバ嬢の道だったのです。

田舎の単価安めの店から始まり、やがて繁華街ど真ん中の店に移り、最終的にスナックへと戦場を変えつつ、何だかんだと水商売のバイトは国試の合格が分かるまで細々と続けることになりました。私の読みは正しく、このバイトは本当に学ぶことが多かったのです。

キャバ嬢の経験を通して私が学んだことは大きく分けて二つ。一つ目は、「仕事上のモテ」というのは、全方位の異性にチヤホヤされることではなく、自分が狙った層に好かれる自分をプロデュースし、実際にお金を落としてもらえるようになるということ。そして二つ目は、素の自分がどういう層に好かれるのかを把握することの重要性でした。キャバ嬢のバイトを通して、私は初めて自分を見つめることになったのです。

10代から人間関係がこじれがちな日々を過ごしていた私は、なぜクラスで人気の「あの子」になれなかったのか、なぜいつも人から浮いてしまうのか、どうしてみんなと同じように振る舞えなかったのか、と初めて自分の恥部(だと思っていたこと)について省察する機会を得たのです。

人間関係がうまくいく女性医師の特徴

それから、医師の世界が特殊だというのを強く感じたのもこの頃でした。100人が入学して、100人が医者になっていくのが当たり前のこの世界。奨学金をもらっていたり、苦学生であったりという人もいますが、教育的にも経済的にも恵まれた人が他学部より多い印象です。この上澄みのような世界しか知らずに大人になって、医師という社会的ステータス(と未だに思われているもの)を得てしまっている私たちは、患者さんを診ている中で、きっと理解が足りなかったり、こちらの価値観を押し付けてしまったりすることもあるんだろうなと、「昼はポリクリ、夜は水商売」の時期に考えていました。

余談ですが、キャバ嬢を研究し、その後もたくさんの女性医師を見てきて、患者さんともコメディカルとも上手くやっていける女性の特徴が何となく見えてきました。清潔感がある、抜群に相づちがうまい、時事問題をきちんと理解している(患者の背景を思いやれる)、きっぷはいいけど無駄遣いしない、他人との距離感の保ち方がうまい――などがあるような気がします。

話を戻しますが、結論としてキャバ嬢のバイトは楽しかったけど、プライベートのモテにはつながりませんでした。キャバクラで得た学びやスキルを、個人の出会いの場に生かそうとしたことは何度もあります。ただ、私に下心(相手への好意)がなければ楽しい時間を過ごせますが、あるともう壊滅的でした……(苦笑)。

ほぼ全ての恋愛がうまくいかずに終わってきた理由

学生時代も、卒業後もいくつかの恋愛を経験しましたが、毎度毎度、不完全燃焼というか、言いたいことが上手く伝わらない感じで終わっていきました。

私がなぜ、モテなかったのか。どうして私の恋愛がいつも微妙な終わり方をしていたのか。「マネージャーモテ計画」の失敗とキャバクラ修行、婚活、そして夫との生活など、全てを振り返ってみると、思い当たる理由がいくつかありました。

モテにまい進していた頃の私は、万人受けしない自分を受け入れられませんでした。端的に言うと、私は「偏屈で変な人」なのだと思うのですが、そういう自分を自分自身が良いと思っていなかったので、出会いの場では、自分じゃない誰かになろうとしてしまっていたのです。

クラスの人気者の誰かみたいに、毒を吐かず、周囲に目が行き届いて、他人への感謝を忘れず、情緒が安定している――全方向にいい人。そんな、似ても似つかない誰かをまねても、すぐに限界がきて、ボロが出てしまいます。ボロを出した自分は、自分でも気に入らないので、恋愛の終わり頃はいつもわけの分からないことをグダグダ言った挙句、勝手に距離を置いて……ということになっていたように思います。

夫とは、知り合ってから今日まで、ケンカは数限りなくしていますが、それでもいつも大事にされていると感じます。大事にされて甘やかされて、ダメな自分がどんどん表に出てくるようになって、自分でも引くくらいヤバい自分を目の当たりにしていると、穴があったら入りたいと思うこともあるのですが、不思議なことに、「ダメダメだけど頑張って生きてる私って、いとおしいじゃん!」と思うことも増えてきました。

今後、たとえ夫との関係がどこかで終わることがあっても、悲しいし未練もあるだろうけど不完全燃焼感はないだろうなと思うくらいには、夫には言いたいことを言えているし、全力で自分を見せているし、ぶつかることができていると思います。

ついにたどり着いた答え モテとは

モテとはチヤホヤされることだと思っていた私ですが、今は、自分を好きになってくれる人を見つけて、その人にうまく大事にされることだと思っています。つまり、モテるっていうのは受動的な現象ではなくて、自分の需要を理解して、そんな自分を好きになりそうな人を探しに行って、好きになってもらうってことだと思うようになりました。

この定義で考えてみると、かつての私は自分のことを何ら理解していなかったがために、てんで見当違いな努力をしてみたり、他人に成り済まそうとしたり、自分のことなんてみじんも好きになりそうにない人にアプローチしてみたりと、失敗以外の道はないような動きばかりしていました。

生まれながらに万人に愛される、そういう人も確かにいます。これを読んでいるあなたがそうなら、うらやましいの一言に尽きるのですが、もしかつての私のようにモテなくて悩んでいるなら、他人の目を気にする前に、まず自分を見つめ直してみるのはどうでしょう。ダメなところばかり見えてしまうかもしれませんが、できないポイントではなく、必ず良いところもあるので、自分の全体像を見るようにしてみてください。

あれもこれもできないけど、毎朝自分のルーティンはこなせているし、きちんと暮らせているとか。見た目がどうしたってコンプレックスだけど、勉強はできるし、友達は多いとか。「〇〇だけど△△」の「△△」の部分までちゃんと見つけてください。そうしないと、ダークサイドに落ちて終わってしまいます。

「モテモテになるためにはどうしたらいいですか?」への回答

長くなりましたが、私が後輩に返す答えはこうです。

モテモテになるということが、多くの異性からチヤホヤされるということを指しているなら、今のあなたがモテモテになることはありません。なぜなら、もしあなたがモテモテになれる人なら、すでにそういう立場になっていると思うからです。

チヤホヤされる。それは全方位の人から好かれるタイプということで、生まれた時から少女漫画(特に「りぼん」)の主人公のようなキャラクター設定と立ち居振る舞いが備わっている必要があります。あなたはどうですか? 私の知っているあなたは、恐らくそうではないと思います。ウィットに富んだ物言いを好み、毒を吐き、酩酊(めいてい)し、でも素直で仕事をきちんとこなそうと努力する――あなたは少女漫画の主人公ではないけどインターネット掲示板「2ちゃんねる」のアイドルにはなれます。どこかに必ずあなたを好きなってくれる人たちがいるということです。

「全方位モテ」を目論んで、そこに時間を費やすのも若い今ならよいでしょう。でも、もし私の経験を生かしてくれるのなら、まず自分と向き合って、自分の人付き合いの弱点を見つけてください。次に、その弱点を好ましいと思ってくれる人がどこにいるか、考えて探しに行きましょう。たぶん、今までとは違った場所やコミュニティーに行かないといけないかもしれませんね。

ではでは、明日からの毎日が、もっとハッピーなものになりますように。

PROFILE

湊医師のプロフィールイラスト

湊 しおり(みなと・しおり)

藤田医科大学 総合診療プログラム(藤田総診)医師。
1984年生まれ。広島大学出身。整形外科専門医、抗加齢学会専門医。
気が多く、衝動性が強いため、壁にぶつかることも多々。いつも思いのままに、勢いで何とかしている。素敵な人と出会う運だけは日本一良いとの自負がある。自分を持て余しつつ、専業主夫の夫とペット(犬4匹、猫2匹)に支えられながら、「何とか生きています」。

栗生 ゑゐこ(くりう・えいこ)

栗生えいこさんのプロフィールイラスト

イラストレーター。
茨城県つくば市出身。筑波大学比較文化学類・桑沢デザイン研究所デザイン専攻科(プロダクトデザイン科)卒業。
2009年よりフリーランスのイラストレーターとして活動し、書籍・WEB・広告などを中心にイラストを提供している。著書に『赤子しぐさ』など。

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