学校で教えてくれないデキる研修医のつくり方

11. 研修病院の選び方(4) -病院見学編-

「研修病院の選び方」シリーズの締めくくりとして、病院見学のポイントについてお話しします。忙しい中でも、気になる病院はスケジュールを押さえて見学に行きましょう。

そうだ、病院見学に行こう!

研修病院を選ぶ上で、実際に自分で病院を訪れ、そこで働く人々と生のコミュニケーションをとることは非常に大切です。積極的な姿勢を見せれば、研修医の仕事を少し体験させてくれる病院もあります。医学部には、在学中に大学の外で就業体験を積むインターン制度はありませんので、病院見学で得られる情報がマッチングで初期研修病院を選ぶ決め手となります。
忙しい医学部のカリキュラムの中で、病院見学の時間を作るのは大変ですが、マッチングに向けて気になる病院にはできるだけ見学に行き、自分の目で研修病院を見極めましょう。

見学前に知っておきたい! 研修病院選びのための病院見学ノウハウ

  • point1見学日程のスケジューリング
  • point2病院見学の申し込み
  • point3病院見学当日の注意点
 

医学部4年春〜6年春の期間に病院見学に行くことを想定して、病院見学のポイントを3つ紹介します。もちろん、医学部1〜3年生のうちから先々を見越して病院見学に行くのもアリです。研修病院の良さを自分の目で確かめて、初期研修の舞台を決めてください。

point1見学日程のスケジューリング

  • ・病院見学は平日に!
  • ・マッチングまでの自分の見学可能日は?

マッチングに向けて実りある病院見学をするために、初めにすべきことは見学日程のスケジューリングです。先に決めるのは「どの病院に見学に行くか」ではなく「どの日を使って見学に行くか」です。案外これができなかったために、後になって「気になっていた病院を見学できなかった」と泣くことになる人がいます。マッチングが始まる時期までに自分には「病院見学に使える日」がどれくらい残されているのかをキチンと把握して見学日の予定を立てていきましょう。

 

【病院見学は平日に!】

病院見学は、原則平日に行くようにしましょう。さすがに日曜や祝日に見学に行くつもりはないでしょうが、講義のない土曜を使って病院見学に行こうと思っていた人はいませんか? 2回目以降の見学だったり、どうしても都合がつかなかったり、というわけでなければ、やはり見学日は平日にしておいたほうがベターです。なぜなら、どの病院のどの診療科であっても、回診やカンファレンス、勉強会などの定期イベントのほとんどは平日に行われるからです。病院見学は研修病院の内部を自分の目で見られる貴重な機会です。回診やカンファレンスでは、自分がお世話になるかもしれない指導医やレジデントの先輩達の「温度感」を直に感じることができます。見学で自分を案内してくれた先生1人を見て病院を評価するのではなく、回診などのイベントを通じて組織としての姿勢(臨床、教育、研究にどのように取り組んでいるのか)をよく観察しておきましょう。

 

【マッチングまでの自分の見学可能日は?】

しかし、忙しい医学部生が講義を休まずに平日に病院見学に行ける日なんて、夏休みか春休みの間ぐらいです。部活の大会や合宿などもあるでしょうし、マッチングが始まる6年生の1学期までに見学に使える平日というのはそう多くはないはずです。春休みや夏休みなどの長期休暇のどこかに「病院見学用の週」をいくつか空けておいて、そこでまとめて病院見学に行くようにしましょう。連続していくつもの病院を見学することで、病院間の比較もしやすいはずです。

point2病院見学の申し込み

  • 見学申し込みの連絡先は?
  • 見学の窓口は臨床研修センター? それとも診療科の医局?

見学日程が決まったら、気になっている病院から優先的に見学の申し込みをしていきましょう。自分は初期研修病院に何を求めているのか(研修プログラム重視? 専門診療重視?)を考慮して見学先を絞り込めれば、マッチングに向けて効率の良い情報収集ができるはずです。

 

などの過去記事を参考に、見学先を絞り込んで行ってください。基本的には初期研修プログラムを重視した絞り込みが多くの人に向いているはずです。専門診療を重視した絞り込みはスペシャリスト志向の人にオススメです。
最終的にマッチング試験を受けられる病院は、3〜5病院ぐらいになります。志望上位の病院には2回以上見学に行くこともありますので、春休みや夏休みごとに3、4病院ずつのペースで見学を申し込むと無理のないペースでバランス良く病院を回れます。

 

【見学申し込みの連絡先は?】

多くの研修病院では、見学申し込みをメールで受け付けています。研修病院のホームページにある「臨床研修センター」のページから、問い合わせの連絡先を探してください。「お問い合わせ・見学申し込みはこちら」などと担当部署の電話番号やメールアドレスが掲載されているはずです。申し込みの連絡は電話、メールどちらでも問題ありませんが、後で見学日時や集合場所、持ち物などを間違いなく確認できるメールでの連絡をオススメします。申し込みメールの文面は、見学を申し込む旨を簡単に書く程度でOKです。礼を失さない程度に自分の言葉で病院見学の希望を伝えましょう。作文が不安な方にはマイナビレジデントの「マナーの達人」なども参考にしてください。

 

【見学の窓口は臨床研修センター? それとも診療科の医局?】

見学申し込みの窓口は、基本的には上述の「臨床研修センター」で間違いないのですが、将来進む専門診療を重視した研修病院選び(「研修病院の選び方 -初専門診療編-」参照)をしたい方は、見学申し込みの時点から興味を持っている診療科の医局ホームページに直接コンタクトをとるのも良い方法です。
というのも、見学当日の流れは申し込みの窓口が誰になるかで大体決まるからです。臨床研修センターの事務員(もしくは秘書)さんを窓口に見学を申し込んだ場合は、見学当日に臨床研修センター長もしくは事務員さんからオリエンテーションや案内を受けた後、ローテーション中の初期研修医について見学をすることになります(見学を希望する診療科があれば、その診療科をローテしている研修医につきます)。一方、診療科の医局ホームページから病院見学を申し込んだ場合、窓口は医局長の先生か医局秘書さんとなり、見学当日も比較的診療科の指導医クラスがアテンド役となって医局の特色や専門診療、キャリアプランなどについて詳しく説明しながら院内を案内してくれる傾向があります(もちろんローテ中の研修医につく場合もあります)。 マッチング上位候補の研修病院なら、両方のパターンで見学しておくと、多角的な情報収集が見込めます。

point3病院見学当日の注意点

  • 見学前の再確認(日時、場所、担当者、持ち物)
  • 研修医になったつもりで積極的に院内スタッフを手伝おう!

いよいよ待ちに待った病院見学当日です。時間には十分余裕を持って、10分前には院内の集合場所を訪れるようにしましょう。何回か慣れるまでは病院見学前日は緊張して眠れないこともあるかもしれませんが、病院側のスタッフは自分の病院にせっかく興味を持ってくれた学生に厳しくあたるなんてことはないので安心してください。見学に来てくれる学生というのは病院にとっては大切なお客様です。アテンド役の先生の中には、時に質問攻めをしてくる先生もいるかもしれませんが、それは別に学生の知識レベルを測ろうと言うわけではなく、ほとんどが「ウチの病院に見学に来てくれた学生さんにいろいろ教えてあげたい!」という熱意が少し前のめってしまっているだけです。むしろ学生の無知は当たり前ですので、気になったことは何でも積極的に「教えてください」と聞いてみましょう。1日が終わる頃には連絡先を交換しているか、そのまま飲みに誘われるかもしれません。

 

【見学前の再確認(日時、場所、担当者、持ち物)】

楽しく充実した見学にするために、やっておくべき準備として、見学前日か前々日に一度、見学日時、集合場所、担当者の名前、持ち物を再確認しておきましょう。
見学日時と集合場所の確認を怠ることはないですが、見学を担当してくれる方の名前や持ち物は意外と忘れがちです。見学申し込み時にメール(もしくは電話)でやりとりした先生や事務員さんの名前はもちろん、会う可能性のある関係者の顔と名前、簡単なプロフィールをホームページなどで事前にチェックしておいても良いでしょう。病院見学の持ち物は、あまり大荷物にならないようにだけ注意してください。見学日の集合場所の多くは医局であり、皆さんはそこで白衣に着替え貴重品以外の荷物を預けることになります。稀に教科書を何冊も入れたパンパンの鞄で行く人がいますが、見学中は聴診器と筆記具、学生証(病院で用意してくれるネームホルダーに入れます)ぐらいしか持ち歩きません。本を持参するなら、せめて使い慣れているポケットマニュアル1冊ぐらいに止めておきましょう。また白衣や聴診器は医局で貸してくれる病院もありますので、持参したほうが良いかどうか事前に確認しておきましょう。

 

【研修医になったつもりで積極的に院内スタッフを手伝おう!】

ただでさえ外の病院に来て緊張しているところに、知らない人々に囲まれて院内を回っていると、自分の「居場所のなさ」や「疎外感」を感じてしまう人も多いと思います。「自分が仕事の邪魔をしてしまっているのでは?」と気に病んでしまったせいで、せっかくの病院見学が台無しになるのは避けたいものです。 貴重な病院見学を楽しんで有意義なものにするために、皆さんには「自分はこの病院で働く研修医だ」と思って振る舞ってみることをオススメします。もちろん院内スタッフの誰もが、学生に知識や技術は期待していません。皆さんが見せなければいけないのは、自分から院内スタッフの間に入り込んで行こうとする積極的な姿勢です。少しでも自分に何かできることはないだろうかとアンテナをフルに働かせて、院内スタッフと関わるチャンスを探ってください。処置の見学中にアルコール綿をサッと差し出したり、患者さんの体位変換を手伝ったり、処置をよりしやすいようにベッドの高さやライトの角度を調整したり、と意外と手伝えることは多いはずです。なかなか入り込んでいけないときは、タイミングを見計らって「先生、何か私に手伝えることはありますか?」とはっきり聞いてしまうのも良い方法です。逆に言葉通りの「見学」をして見ているだけだと病棟では相当浮いてしまって、「消極的でパッとしない学生」の印象を持たれてしまいます。白衣を着て病院見学をしているからには、その病院の一員になったつもりで、積極的に院内スタッフとのコミュニケーションをとっていってください。生半可な知識より積極的な姿勢の方が、よほど病院側の高評価につながるはずです。

PROFILE

  • 竹田 陽介 Takeda Yosuke

    心臓病、生活習慣病の診療を専門とする内科医師。チーム医療におけるコミュニケーション技術や患者満足度調査において高く評価されている。独自の医療コミュニケーション理論に基づく病状説明は、わかりやすく安心できると幅広い年代から信頼され、家族を連れて来院する患者も多い。

    現在、循環器内科医師としての診療に加え、Vitaly代表としての講演・研修や企業に対する健康経営コンサルティングも行っている。


     株式会社Vitaly

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