学校で教えてくれないデキる研修医のつくり方

8. 研修病院の選び方(1) -基本編-

初期研修病院は、今後の医師人生に大きな影響を与える1つといってもいいでしょう。だからこそ、慎重に自分に合った研修病院選びを行いたいものです。しかし、「自分に合った病院とは?」「選ぶ基準は?」など漠然と疑問を抱えている医学生もいるかもしれません。
今回は、初期研修病院を5ステップで選ぶ方法など、選び方の基本編をご紹介いたします。

いつから始める? 研修病院選び

新学期が始まり今年もマッチング開始の時期が近づいてきました。6年生の中には、春休みを使って最後の病院見学に行った人も多いと思います。 臨床研修制度が導入されてから、医学部生は忙しい学生生活の合間を縫って研修病院選びをしなければならなくなりました。
かつて、直接医局に入局していた時代には、6年生の卒業式が終わってから医局にコンタクトを取って4月直前に就職先が決まるなんて人もいましたが、今では皆5年生のうちから、早ければ4年生から研修病院探しを始めています。 実際、研修病院を選ぶための情報収集は早ければ早いほどアドバンテージがあるのは確かです。 しかし、臨床の講義を受けていない低学年のうちから研修病院探しを始めても、見学に行った際にどこをチェックすればよいのかわからない…なんてことになりえます。「デキる研修医」的には、医学部4年生の春ぐらいから研修病院の情報収集を始めることをオススメします。
マッチングを受ける6年生の秋まで、かなりの時間があるように思えますが、情報収集、病院見学、選考試験のスケジュールを考えると意外と時間は少ないものです。医学部では、ほぼ全ての科目が必修なので、他の学部のように午後から学外に出かけるとか、休みを取って見学に行くとかいうことがほとんど不可能です。病院が通常稼働している平日に見学に行くためには春休みや夏休みなどの長期休暇を使うしかありません。
医学生の限られた時間の中でいかに効率的に良い研修病院を見つけるか、今回は研修病院選びの流れを5ステップでお話しましょう。

5ステップで選ぶ初期研修病院

  • step1研修病院の1次候補リストを作る
  • step2見学先を絞り込む
  • step3病院見学に行く
  • step4選考試験を受ける
  • step5マッチング

step1研修病院の1次候補リストを作る

最初に取り掛かるのは、研修病院の1次候補リストアップです。まずは研修プログラムや診療科ごとの特色などはあまり考えず、全国の研修病院の中から自分が良さそうと思える病院を20〜30病院ほどピックアップしましょう。
全国に1,000以上もある臨床研修指定病院を全て丹念に調べて選び抜くのは非常に大変です。関心のあるいくつかの地域を検索キーワードにして、検索エンジンや臨床研修関連のポータルサイト(下記参照)から研修病院探しを始めましょう。たとえば、医学生時代を過ごした都道府県、自分の出身地、それ以外(住んでみたい地域など)といった感じで関心のある地域ごとに研修病院の絞り込みをかけていってください。
もっとも、自分がこれまで住んだことのない地域だと、そこにどんな病院があるのかほとんど知らないものです。時には地域しばりを気にせず全国のいろいろな研修病院を眺めてみて気楽な視点で「良さそう」と思える研修病院を1次候補に入れておくのもアリです。この最初のステップは、自分の研修先候補となりうる病院を広く浅く知る機会にしてください。

【臨床研修関連のポータルサイト】
マイナビレジデント https://resident.mynavi.jp
医師臨床研修マッチング協議会 https://www.jrmp.jp

step2見学先を絞り込む

1次候補をリストアップしたら、次は研修病院を吟味して優先順位をつけ、見学に行く研修病院を絞り込みます。せっかくなら6年生の選考試験前までに1次候補(20〜30病院)を全て見学したいところですが、医学部のカリキュラムを考えるとなかなか難しいです。なぜなら病院見学は平日に行くべき(理由はStep3で)なので、しっかり見学に時間を割けるのは春休みと夏休みぐらい(冬休みは年末年始に重なるためちょっと厳しい)になってしまうからです。
マッチングの日程から現実的に選考試験を受けられるのは3〜5病院程度ですので、見学に行く研修病院は10病院前後で十分でしょう。

リストアップした1次候補病院から見学先を絞り込むポイントは大きく2つです。

  • ・初期研修プログラムのクオリティを重視するか
  • ・自分が将来進みたい診療科のアクティビティを重視するか

自大学の教官や研修医をしている先輩、その他知人ドクターなどに相談したり、マイナビレジフェスや自治体などの合同説明会などのイベントを活用して、積極的に情報収集を図りましょう。

【研修病院を比較するポイント】

・初期研修プログラムで比較
研修制度のテンプレに依存せず、どれだけ病院独自の研修医教育プランを構築できているかをチェックする(入職時オリエンテーション、研修医マニュアル、研修修了時の到達目標、勉強会、当直・救急外来での業務範囲)。

・ 専門科診療で比較
後期研修以降を見据えて自分の進みたい診療科ベースで各病院の医局同士を比較する(教授の専門分野、教育・指導体制、入局後のキャリアプラン、派遣される関連病院)。

step3病院見学に行く

研修病院の見学先がある程度絞り込めたら、病院見学のスケジュールを立てていきましょう。 病院見学までの大まかな流れは、「見学申し込み(基本はメール)」、「見学日の決定」、「病院見学」です。病院見学についての詳細は第11回の別記事で解説しますが、特に気をつけてほしいポイントを2つだけお話ししておきます。

 

■1つは見学の窓口(申し込みメールの送り先)について
臨床研修センターを窓口にすれば自然と初期研修プログラムに焦点を合わせた見学となり、各診療科医局を窓口にすれば専門科診療に焦点を合わせた見学となる可能性が高くなります。自分がどちらを重視しているかによって見学を申し込む窓口を決めましょう。

■もう1つは見学に行く曜日について
原則、平日(月〜金)を希望してください。なぜなら医局の定期イベント(カンファレンスや勉強会、教授回診など)が開催されるのはほとんど平日だからです。曜日ごとに開催されるイベントを聞いて、見学日を決めましょう。活気のある研修病院は、カンファで必ず議論が盛り上がり、病棟でもスタッフ(指導医、研修医、ナース)の間で治療方針をよくディスカッションしている風景を見かけます。教授(部長)回診でも研修医のプレゼンに対して成長につながる質問や指導をしてくれているか、見学中は施設面より働く人々の温度感をよく観察してください。

また、病院見学当日は、研修医の先生の下について院内を動くことになります。その時お世話になった研修医の先生とは、後でアドバイスをもらうためにも積極的に連絡先を交換しておきましょう。

step4選考試験を受ける

医学部4年〜5年の春休みや夏休みを使って気になる病院を一通り見学したら、マッチングを受けたい研修病院を絞り、6年生の夏に選考試験を受けに行きましょう。多くの研修病院の選考試験は7、8月の期間に開催されます。時には試験日が重なってしまうため、多く受けたいと思っても限界があります。実際に働く研修病院は1つですから、多くても5、6つぐらいに絞って選考試験の願書を出しましょう。もし「自分にはこの病院しか考えられない」と強く志望が固まっている人がいたとしても、自大学を含めて最低3つは選考を受けることをお勧めします。結果的に本命が不動であっても、比較対象を複数用意することで盲目的な研修病院選びになるのを防げますし、当然滑り止めの意味合いもあります。

選考試験を通るコツについては諸説ありますが、1つ言えることは研修医の選考試験は大学受験ほどには客観的な評価はされないということです。ある程度(というかかなり)それぞれの病院の主観で学生を順位付けしています。身だしなみ、言葉遣いは当然として、この病院で働きたいという熱意、医療(特に臨床)に対する姿勢を問われます。病院側は選考試験を通じて学生を「我が病院の大切な患者さんを安心して任せられる人間か?」という目で選定しています。 どのような形の選考試験になるかは研修病院ごとに千差万別ですので、必ず見学時に知り合った研修医の先生に選考試験対策のアドバイスをもらって臨みましょう。

step5マッチング

7、8月の選考試験シーズンを無事に乗り切ったら、9月からはいよいよマッチングの本番が始まります。

事前準備としてマッチング参加登録は6月頃に教務課などが主導して学年全員で行うことになります。「参加登録を行う日を知らなくて欠席しちゃった」なんてことにならないよう、大学からのアナウンスや掲示板はしっかりチェックしておきましょう。
マッチングは、参加登録から希望順位提出、結果発表まで全てをマッチング協議会のサイトにログインしてオンラインで行います。研修病院の希望順位はマッチング期間中に変更可能ですので、中間公表で予測される倍率も参考にして最終締め切りまでに研修病院の希望順を固めましょう。

【2015マッチング日程】
6月18日 マッチング参加登録
9月10日 研修病院の希望順位登録開始 
9月25日 中間公表(各病院ごとに第1希望者数が公表される)
10月8日 希望順位登録の最終締め切り
10月11日 マッチング結果発表
医師臨床研修マッチング協議会  https://www.jrmp.jp

PROFILE

  • 竹田 陽介 Takeda Yosuke

    心臓病、生活習慣病の診療を専門とする内科医師。チーム医療におけるコミュニケーション技術や患者満足度調査において高く評価されている。独自の医療コミュニケーション理論に基づく病状説明は、わかりやすく安心できると幅広い年代から信頼され、家族を連れて来院する患者も多い。

    現在、循環器内科医師としての診療に加え、Vitaly代表としての講演・研修や企業に対する健康経営コンサルティングも行っている。


     株式会社Vitaly

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